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エゾシカ肉の成分 釧路短期大学 岡本匡代 (Copyright (C) 2009 Okamoto Masayo, All rights reserved.)
旬は夏から秋  未知の食品の成分を知ろうとするときは、まずはじめに、一般成分(水分、たんぱく質、脂質、灰分および炭水化物)を調べるということをします。エゾシカ肉の一般成分(図1)における最大の特徴は、和牛やぶたの同じ部位と比較してみれば明らかであるように、低脂質であることです。この低さは、肥満症などの食事療法にしばしば用いられる鶏むね肉やささみと同じくらいです。野生エゾシカの成分について季節による違いを検討したところ、天然の魚や山菜のように旬があることが示唆されました。どうやらそれは、夏から秋にかけてであるようです。
良質な脂質  私たちがエネルギー源として活用できる食品成分は、たんぱく質、脂質、炭水化物だけです。このうち、脂質に由来するエネルギー比の目標範囲は、29歳未満では20〜30%、30歳以上では20〜25%と設定されています。現状はというと、エネルギー摂取量の年次推移は減少傾向にあるというのに、年々増加しています。直近
の調査では、30%を超過している者は、20歳以上の男性では約2割、女性では約3割を占めていたそうです。私たちは、脂質の摂取量を控えることに、もっと気をつかった方がよさそうです。
 エゾシカ肉は、脂質の質の良さもまた魅力です。脂質の質を決定づけているのは脂肪酸という成分ですが、エゾシカ肉では、必須脂肪酸のリノール酸をはじめとする多価不飽和脂肪酸が、一般的な畜肉よりも多く含まれていました。また、幼獣には、抗発癌作用や脂質代謝改善作用をもつ共役リノール酸(CLA)が、成獣よりも多く含まれていました。乳の影響であろうと考えられています。
鉄分補給に最適  エゾシカ肉の特色には、鉄の多さもあります。ある調査では、100g中に6.0mgも含まれていました(図2)。主食にしばしば用いられる食材のなかで鉄を比較的多く含んでいるのは、うしやぶたといった畜肉や、まぐろやかつおなどの赤身魚ですが、それらを上回る値です。鉄という元素は、私たちの体内にはわずか数グラムしか存在しませんが、ヘモグロビンとして酸素の運搬にかかわるほか、エネルギーを作り出す経路の酵素の成分となるなど、多くの代謝反応に関与しています。月経のある女性の推奨量は、年齢によって異なるものの、10.5〜14.0mg/日とされています。しかしながら、その摂取状況は1日につき7mg程度であり、推定平均必要量(8.5〜10.0mg/日)すら満たされていません。一見すると健康そうであっても、じつは貧血予備軍であるという女性は大勢います。女性にこそ、エゾシカ肉を積極的に食べてほしいものです。
参考文献
岡本匡代(2006)岩手大学博士論文.食品成分研究調査会(2001)五訂日本食品成分表,医歯薬出版株式会社.
平成19年国民健康・栄養調査結果の概要(2008)厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室.
日本人の食事摂取基準(2010年版)(2009)厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室.
エゾシカ食肉事業協同組合
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